改善の兆しが見えない「待機児童問題」
女性の社会進出が進んでいる昨今、政府や自治体も声を大にして取り組みを進めているとアピールしている「待機児童問題」ですが、未だに保育園に入ることができず、退職を余儀なくされる女性が多くいることは常々問題視されてきたことでした。

昨年2月に投稿された「保育園落ちた日本死ね!!」というブログによって、待機児童問題と、それにより退職を余儀なくされる女性の本音が世に知らされたことは記憶に新しいことと思います。
しかし、社会の待機児童問題に対する注目は一瞬は高まったものの、その後も保育園建設に対する反対運動が多く取り上げられるなど、待機児童問題改善への兆しは一向に見えてこない状況と言えます。
第二子の育休取得で第一子は保育園退園!?
そんな待機児童問題について、またしても信じられないような状況に置かれ苦しんでいるという声がブログに綴られ、話題を呼んでいます。
そのブログを書いたのは「tks627」さん。東京都国分寺市に住み、奥様と、もうすぐ3歳になる第一子と、生後3週間の第二子との4人暮らしをされているそうです。
第一子は今年の4月からようやく保育園に通うことができ、奥様はそれを機に職場復帰。そして先月には無事に第二子を出産されたとあって、順風満帆なように思えていたのですが…
市役所から突然電話がきた。
「現在、市内の保育園に通われているお子さまですが、現在産休中のお母さまがこのまま育児休業に入り職場に復帰しないということですと、今年の11月11日で退園して頂きますので、その確認のお電話です。」
という内容。
なんと、第二子の育児休業に入るのであれば第一子を退園させろという通達が市役所から寄せられたのだと言います。
あまりに唐突な知らせを受け入れられるはずもなく、役所に問い合わせると「産休後に育休を取らず、すぐに職場復帰するのであれば問題ない」と言われたのだと言います。
しかし、妻の職場にも都合がある上に、同市施設では0歳児の受け入れはゼロという状況だそうで、第二子を預けることができないのも明確です。そんな中、職場復帰ができないのなら退園させるとの一方的な勧告に、tks627さんは途方に暮れてしまっているのだと綴っています。
二人目のこどもを預けられないのにどうやって職場に復帰できるというのか。
(中略)
仕事をやめて保育園もやめるしかない。
なんだこりゃ?
さらに、仮に第一子を退園させて家で育児をしたとしても、また1年後には保育園に預けなければならなくなります。その時、待機児童が多い自治体では兄弟が揃って同じ園に通えるようになる可能性はおろか、二人ともが保育園に入れる保証も無いに等しい状況なのだそうです。
待機児童を”たらい回し”にしているだけの現状

tks627さんは市役所から「待機児童問題を解消するための新しいルールで、親が育児休業中の園児を退園させることで、その分の待機児童を入園させ、待機児童を減らすことができる」という仕組みであるという説明を受けたのだそうです。
しかし…
馬鹿も休み休み言ってもらいたい。
待機児童は1名減ったその瞬間に我が家に1名増えているわけである。
これは待機児童のたらい回しに他ならない。(中略)
こんなルールがあるならば働く女性は二人目のこどもを産もうなんてますます思えなくなる。
tks627さんのいう通り、これでは全く問題を解決することになっていないことは言うまでもありません。
そんなルールを堂々と運用している行政に対して、呆れの声が聞こえてきそうです。
”女性は子供を産んだら働くな”と言われているようなもの
こういった経験を踏まえて、国が目指すと言っている社会と現実とに大きな解離があるということをまじまじと感じたというtks627さん。
ブログでは、政府や行政に感じたという疑問の数々も綴られています。
「これはいったいどういう「一億総活躍社会」なのか説明してくれ総理大臣。」
「これでは「女は働くな」と行政から正式に言われているのとなんら変わらないのである。」
「あれだけの税金をかけて東京オリンピックとかやっている場合なのか。強い経済を作ると連呼しながら戦争兵器の輸出をも躊躇しない日本政府。こどもが増えなければ日本に未来はない。」
多くの共感を呼んだこのブログは、公開から約1週間で3,000以上シェアされるなど、大きな反響を呼んでいます。
自治体による制度の違いにも疑問
そもそも、こんな制度が生まれるきっかけとなったのは2015年4月から「子ども子育て支援新制度」が始まったことに起因します。待機児童を減らし、受け皿を増やす策を各自治体に委ねてしまったがために、tks627さんの住む国分寺市では「第二子育休中は第一子を退園させる」と定め、また他の自治体では同様のケースでも引き続き第一子を通園させることができると定めました。
根本にあるのは同じ制度なのに、自治体によって全く対応が異なってしまっている点も、到底納得のできることではないですよね。
子育てをする家庭のリアルな叫び声である今回のブログ、多くの方に知ってもらい、待機児童問題に喘ぐ生の声として今後の政策等に生かしてほしいと願うばかりです。
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