命の選別?出生率を高める着床前診断とは

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着床前診断とは

着床前診断とは体外受精で得られた受精卵を、母体に移植する前に遺伝子検査を行うことです。妊娠初期に起こる流産の多くは、この受精卵の染色体異常が原因だと言われています。

染色体とは遺伝情報が詰め込まれた人体の設計図のようなもの。人間には23対、計46本の染色体が存在しますが、これに異常が起こると染色体の数が1本多くなることがあります。代表的なものは、21番染色体が3本存在することによって起こるダウン症です。そのほかにもエドワーズ症候群(18番染色体の異常)パトー症候群(13番染色体の異常)などが知られています。これら受精卵に染色体異常がある場合の多くは妊娠初期に淘汰され、流産に至ることがほとんどと言われているほか、エドワーズ症候群やパトー症候群では生後1年以内に90%の赤ちゃんが死に至るという悲しいデータが報告されています。

着床前診断は染色体異常が見られた受精卵を事前に排除することで、流産率の減少、さらには健康になりそうな胎児を選別して出産に至らせることを目的として実施されています。

母体の年齢が上がるとともに流産率は増加する

胎児が染色体異常になる確率は、母体の年齢とともに増加します。その確率は25歳では476分の1なのに対し、35歳では192分の1、45歳では21分の1という非常に高い確率となります。

これに伴い、流産率も25歳では10%程度なのに対し、35歳では25%、45歳では50%へと上昇します。

この原因と考えられているのが”卵子の老化”。卵子が老化する過程で何らかのダメージを受けるためと考えられているのです。

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流産は、心にも体にも大きなダメージ

流産は、心だけでなく、体にも大きなダメージを与えます。流産後はホルモンバランスが乱れることがよくあり、流産後数周期は妊娠を見送るように指示をする医師が多いです。しかし、高齢ともなるとそんな流暢なことを言ってはいれれません。刻一刻と、妊娠できるタイムリミットが近づきつつあるからです。

また、流産を繰り返した結果、出産に至るのがより高齢になってしまうのも問題です。高齢出産では妊娠中に妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離、早産など、母体の命にも関わりかねない重大な事態を招く恐れがあります。

40代の産婦死亡率は20代の約20倍と言われており、流産率の低下は、母体の高齢化を防ぐ意味でも注目されています。

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着床前診断には、「命の選別になる」と批判的な声が上がる一方で

日本産婦人科学会は「障害を有する命の選別につながるのではないか」という倫理的観点に基づき、「重い遺伝病」と、「染色体の特定の形の異常による習慣流産」以外での着床前診断を認めていません。

しかし、実施している病院はじめ、着床前診断には肯定的な意見も多く聞かれます。

着床前診断を受けると、もともと染色体異常で着床できなかった受精卵、あるいは流産する運命にあった受精卵を調べて、胎児として発育できる受精卵だけを子宮に戻すことができます。体外受精後の流産はこういった受精卵の染色体異常による場合が多く、着床前診断を受けることで、流産率が減少することが証明されています。着床前診断は不妊症の方が流産を回避して、新しい命を育んでいただくことを可能にする技術なのです。

流産は繰り返すと、子宮が傷つき子宮癒着を起こす可能性が大きくなります。子宮癒着を起こすと、着床が妨げられて不妊症になる、流産の可能性が高くなる、分娩時に癒着胎盤による大出血の原因になるなど、妊娠や出産時に問題が起きやすくなります。
着床前診断、着床前スクリーニングは、流産を防ぐことにより子宮癒着を予防し、妊娠や出産時のトラブルを少なくすることができる技術でもあります。

 

 

 

 

着床前診断を実施している病院は数施設とまだまだ少ないですが、実は海外ではごく一般的に認められた検査です。アメリカやイギリス、北欧諸国をはじめ、中国、韓国でも実施が認められています。

日本ではようやく、日本産婦人科学会による着床前診断についての臨床試験がはじまり、将来的には着床前診断の実施が認められる可能性がでてきましたが、まだまだ長い道のりとなりそうで、もうしばらくはこの「命の選別」という倫理的問題をどう解消するのかが問われることとなりそうです。

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